遺伝の規則の勉強って難しくはないんです。
でも、豆が丸か?しわか?なんて、生徒はどうでも良いと思うんです。
だから、遺伝の規則は、血液型のきまり方を教えることからスタートします。
昔、山口百恵さんという大スターがドラマに出ました。
女子高生役の百恵ちゃんは、医大生の三浦友和くんとデートをしています。
楽しい会話の中で、百恵ちゃんがこんなことを言いました。
- 「うちはお父さんがO型でお母さんがAB型。私はお母さん似だからAB型なの。」
- 医大生の友和くんは気付いてしまいました。「この子は実の子じゃない!」と…
「わかりますか?今日の勉強が終わると、みんなにも百恵ちゃんが本当の子ではないということが分かってしまいます!では、はじめます。」
血液型は、2本の染色体が(A,B,O)のうちどの遺伝子をもっているかの組み合わせで決まります。
つまり、こういうことですね。
「先生!AとOの組み合わせになったらどうなるんですか?」
「良いところに気がつきましたね。すばらしい!」
「下の図を見て下さい。」
- AとBは強い性質で、組み合わせたときどちらの性質も残そうとします。だから、赤と青が混じって紫色になるイメージです。
- それに対して、Oというのは周りの人に合わせ、自分の性質を主張しないため、外から見ると、くっついたAやBの性質だけしかないように見えます。だから透明なセロファンを重ねて見ているイメージです。
そんなわけで、(A、O)の組み合わせだとA型になり、(B、O)の組み合わせだとB型になるんですね。
血液型のしくみが分かったところで、親からどの遺伝子をもらうことになるかについて考えます。
子どもの血液型を決める遺伝子は、両親からそれぞれ1個ずつもらいます。
- お父さんがO型だと、2つの染色体にはどちらもOの遺伝子。
- お母さんがAB型だと子どもにあげる遺伝子はAかBのどちらか。
だから下の表のようにまとめて、子どもには4種類の可能性があることになります。この場合だと…
だから、子どもは、AOという遺伝子をもつか、BOという遺伝子をもつかのどちらかになります。AOはA型、BOはB型でしたね!だから
この夫婦からは、A型のこどもか、B型の子どもしか生まれません。
百恵ちゃんはこの夫婦の実の子ではなかったのです!
この後、磯野家の血液型について練習問題をします。
「波平はO型、フネさんはAOのA型だとすると、3人の子どもは何型だと考えられますか?」というようにです。これで遺伝の規則性はほとんどの子が理解してくれます。
そして最後に必ず次のような話を付け加えます。
先生の友達で、20歳までO型だと思って生きてきた人が、二十歳の献血で実はB型だったと分かりました。その人はB型の私に向かって『B型なんてやだ〜。O型がいい〜』と言ってきました。なんて失礼なやつ!!
実はその人のお父さんの血液型の検査が間違っていて、こんなことになったのだそうです。だから、もしこの規則で自分の家にあわない部分が出てきたら、まず、お父さん・お母さんが再検査するべきだと思います。
P.S. この説明には、規則を理解してもらうために、実は少し正しくない言い方も含まれます。しかし、正確に伝えることがむしろめんどくささを伴うことになるなら、私はあえて「今は、こう考えて!」と割り切ります。