ScienceTeacherのブログ

中学校の理科の教員です。いままで授業で使ってきて有効だった小ネタを紹介します。教員だけでなく、中学生が見ても参考になるように作っていきたいと思います。

理科教師の職業病〜日常編〜

その1 ブルーハワイ

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上の写真は塩化銅の粉を、水に溶かしたところです。
生徒たちは「きれいな色〜」と反応することが多いです。
そこですかさず「でもね、これ飲んだら死ぬよ!」「銅は毒だからね。」
ここまでは理科に必要な話。この後つい言っちゃうんですよ。

「こんな色のかき氷あるよね。」「ブルーハワイ!」「そう!それ。」

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「先生、あれたべられないんです。」

「なんで〜?おいしいのに。」

「この色が毒だと知ったのが先で、ブルーハワイはそれより後に登場したの。理科教師の先生にとって、この色はなんか口に入れちゃいけない色に見えちゃうんですね〜。」

 

その2 打ち上げ花火

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「打ち上げ花火って、きれいだよね〜。でも、理科教師の先生は別のことを考えてしまうことがあるんです。」

家族そろって、花火見物に行ったときのことです。

うちの家族が「わ〜、きれい!」とか言ってるそばでブツブツと…

 「緑だから銅かな。」

 「黄色はナトリウム」

 「赤はストロンチュウムだったかな」

炎色反応のことを考えてしまうんです。

もちろん家族からは「お父さん、うるさい!」「黙ってて!」

と、怒られました。

 

金星や月の満ち欠け

満ち欠けを説明するのに、部屋を暗くしてボールに光を当てる方法がよくあります。
でも、手間がかかるし、一度に見られる生徒の数も限られます。
お手軽に、しかも全員一斉に、金星の満ち欠けを確認できるのが下の写真の教材です。

赤丸が太陽、青丸が地球。半分黒く塗ったピンポン球が金星です。
ちなみに、ピンポン球と軌道のシートはマジックテープでくっつくようになっているので、自由に場所を変えられるし、黒板に貼り付けて見せることができます。

この状態で、青丸の方向(地球の方向)から、カメラで見ると4つの金星が全部違う形に見えるのが一発で分かります。これを教室のテレビに映して全員で見ます。

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「月の満ち欠けバージョン」もあります。

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さて、満ち欠けすることが理解できても、テストで正解してもらうためには別の指導が必要です。

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例えばこの図で、「右上の月は、地球からはどのように見えますか?」という問いにどのように答えを出すかです。私は、次のように指導します。

 1 月の幅で、地球の方に平行な線を引きなさい(緑の線)

 2 白と黒の境目から、1番の線と平行な線を引きなさい(黒の線)

 3 光っている方(白)の側に色を塗りなさい。(黄色の部分)

 4 地球から見て、光っているのは右?左? 「右です!」

 5 光っている部分は半分より多い?少ない? 「少ない!」

 

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6 右側が、半分より少なく光っているんだから答えは「右三日月」ですね!

 

これは厳密に言えば正しい名称ではないのですが、中学生の問題では気にしなくていいレベルだと思っています。だから「右三日月」、「左三日月」と使い分けます。
(光っている部分が多い場合は「右4分の3月」「左4分の3月」と教えています。こんなことばは多分ないと思いますが…)

 

 

 

地震計のしくみはぜひやってみせたい!

地震の記録として、教科書では下の図のようなものが使われます。

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この記録をつけるのに使われるのが地震計です。この地震計のしくみをこの流れですぐに説明してしまうのはとてももったいない!私は次のように授業します。

 

この記録を作るためには、紙かペンのどちらかが、地震で揺れている中でも止まっていないといけないんだよ。両方いっしょに動いたらダメでしょ!どうやったら、地震の揺れの中で揺れないでいられると思う?

 

このことを、しくみを教える前に考えさせたい。!
すると、「水に浮かべる!」という答えがよく出ます。
それに対しては、地震の時、水槽の水は揺れないかな?」と揺さぶります。

こういうやりとりをすると「科学の力で!」とか、最先端の科学技術で、どうにかして作り出しているんだ。という方向にいきます。

そこで、教室にあるもので、「実はこうすればできるんだよ!」とやってみせるのです。スズランテープを長いひもでつるして、もっている手を急激に左右に振ります!
このとき、吊り下げられたスズランテープ本体はほとんど動きません。

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「へえ〜」とか「おぉ〜」とかいう声が出たら大成功!

その上で地震計を見せると、ハイテクではなく、作ろうと思えば中学生でもできそうな”工夫によって”できていることに感心してくれるものです。

小さなことですが、こういう感動があることがとても大切ではないかと考えています。

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血液型がわかれば 遺伝はOK!

遺伝の規則の勉強って難しくはないんです。
でも、豆が丸か?しわか?なんて、生徒はどうでも良いと思うんです。
だから、遺伝の規則は、血液型のきまり方を教えることからスタートします。

 

昔、山口百恵さんという大スターがドラマに出ました。
女子高生役の百恵ちゃんは、医大生の三浦友和くんとデートをしています。
楽しい会話の中で、百恵ちゃんがこんなことを言いました。

  • 「うちはお父さんがO型でお母さんがAB型。私はお母さん似だからAB型なの。」
  • 医大生の友和くんは気付いてしまいました。「この子は実の子じゃない!」と…

「わかりますか?今日の勉強が終わると、みんなにも百恵ちゃんが本当の子ではないということが分かってしまいます!では、はじめます。」

 

血液型は、2本の染色体が(A,B,O)のうちどの遺伝子をもっているかの組み合わせで決まります。

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つまり、こういうことですね。 

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「先生!AとOの組み合わせになったらどうなるんですか?」

「良いところに気がつきましたね。すばらしい!」

「下の図を見て下さい。」

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  • AとBは強い性質で、組み合わせたときどちらの性質も残そうとします。だから、赤と青が混じって紫色になるイメージです。
  • それに対して、Oというのは周りの人に合わせ、自分の性質を主張しないため、外から見ると、くっついたAやBの性質だけしかないように見えます。だから透明なセロファンを重ねて見ているイメージです。

そんなわけで、(A、O)の組み合わせだとA型になり、(B、O)の組み合わせだとB型になるんですね。

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血液型のしくみが分かったところで、親からどの遺伝子をもらうことになるかについて考えます。

子どもの血液型を決める遺伝子は、両親からそれぞれ1個ずつもらいます。

  • お父さんがO型だと、2つの染色体にはどちらもOの遺伝子。
  • お母さんがAB型だと子どもにあげる遺伝子はAかBのどちらか。

だから下の表のようにまとめて、子どもには4種類の可能性があることになります。この場合だと…

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だから、子どもは、AOという遺伝子をもつか、BOという遺伝子をもつかのどちらかになります。AOはA型、BOはB型でしたね!だから

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この夫婦からは、A型のこどもか、B型の子どもしか生まれません。

百恵ちゃんはこの夫婦の実の子ではなかったのです!

この後、磯野家の血液型について練習問題をします。

「波平はO型、フネさんはAOのA型だとすると、3人の子どもは何型だと考えられますか?」というようにです。これで遺伝の規則性はほとんどの子が理解してくれます。

 

そして最後に必ず次のような話を付け加えます。

先生の友達で、20歳までO型だと思って生きてきた人が、二十歳の献血で実はB型だったと分かりました。その人はB型の私に向かって『B型なんてやだ〜。O型がいい〜』と言ってきました。なんて失礼なやつ!!

実はその人のお父さんの血液型の検査が間違っていて、こんなことになったのだそうです。だから、もしこの規則で自分の家にあわない部分が出てきたら、まず、お父さん・お母さんが再検査するべきだと思います


P.S. この説明には、規則を理解してもらうために、実は少し正しくない言い方も含まれます。しかし、正確に伝えることがむしろめんどくささを伴うことになるなら、私はあえて「今は、こう考えて!」と割り切ります。

 

人の体は電流が流れるか!?

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CDラジカセを二台用意して、CDをかけている方のヘッドホン端子と、もう一方のラジカセのマイク端子(音声入力端子)をオーディをケーブルでつなぎます。すると、2台目の方のラジカセから音楽が流れます。これは、当たり前!次に…

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上の図のように、それぞれの端子にオーディオケーブルをさしてケーブル同士は離しておきます。これでは音楽は流れません。でも…

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離れたケーブルを両手でつなぐと、音楽が流れます!

電流の”回路”のところで、「回路が閉じている」を、人体でやるわけです。
それは無理じゃね!?と思っている子が多く、毎回驚いて、そして喜んでくれます。

これで、テストの点数が上がるというネタではありませんが、楽しく授業が始められます。

湿度って、入場率なんですよ!

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村の映画上映会。会場にはイスが8つ。今日のお客さんは2人。

「さて、入場率は何%?」

「4分の1だから…25%!」

「正解!」

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4分の1っていうのは、座席数分の客数ということだよね。%で表すから掛ける100にしたのが入場率です。

だから、さっきの問題は、2 ÷ 8 × 100 = 25という計算で求められます。
「では、これだと何%?」と数問練習します。だいたいできます。

 

そのあと「実は、湿度っていうのは水蒸気というお客さんの入場率なんだよね」

 

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含むことができる水蒸気量の上限 →飽和水蒸気量  → 座席数  f:id:ScienceTeacher:20200919174205p:plain


             1㎥中の水蒸気量 → お客さんの数  f:id:ScienceTeacher:20200919174305p:plain

 

同じでしょう!! だから湿度を求める公式は、

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このあと、整数で、しかも割りきれる数字を選んで湿度の計算を練習します。

だいたい、できます。

でも…

小数の割り算が苦手な子は、このあと全体のペースにはついてこれません。

よく「小学校では理科が好きだったのに、中学校になると嫌いになる。」いわゆる「理科離れ」ということばがあります。

私は「嫌いなのは中学校理科ではなく、算数なんだけどな」といつも思っています。

 

ゾウより怖いお姉さん!? 圧力の話

圧力の勉強では、「重さ(力)が同じでも、それを受ける面積によってへこみ方がちがう」という展開になります。

でも、もっと圧力に興味関心がわくように、次のような話を入れるようにしています。

体重3tのゾウに踏まれるのと、体重50kgのきれいなお姉さんに踏まれるのと、どっちが痛いと思いますか?

「ゾウ!」「絶対!ぞう!」

そう思うでしょう。でも、この前テレビで、女の人にハイヒールで足を踏まれて骨折したっていってる人がいました。お姉さんもなかなか強いみたいだよ。

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重さを比べるときには、同じ大きさ(体積)にして比べたよね。そう密度。

だから、どっちが痛いかを比べるには、同じ面積(1㎠あたり)にして比較してみます。

 

   ゾウ:3000kg ÷ 1000㎠ = 3kg

   お姉さん:50kg ÷ 5㎠ = 10kg

 

なんとお姉さんの方が攻撃力は3倍以上!

お姉さんはゾウより怖いんです!